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「建築の旅」14

2022.11.29 建築の旅

こんにちは。

1993年の北欧の旅は、ソーレン・マッツさんというデンマーク人の友人にいろいろな所を案内してもらいました。
彼は元は家具職人だったのですが日本の数寄屋大工職に興味を持ち、京都に移り住んで中村外二工務店で弟子入り修行をしていました。私も同じ時期に京都に移住して中村さんと仕事をする中でマッツさんと知り合い、私が北欧家具が大好きだったので意気投合し、夏休みに彼がデンマークに帰る時にお願いして同行させてもらうことにしたのです。
彼は親切にも、彼の知り合いの家具作家や建築家の自邸に私を連れていってくれました。私は39歳でしたが、この時の体験は住宅設計者としてのキャリアに大きな影響を与えることになりました。

ではまず初めにボーグ・モーゲンセンの自邸です。
緩い斜面に建つ細長いシンプルな家。軒が深く日本の家のような低いプロポーションでした。
左手は二層になっていて、上の階が住宅で下の階がモーゲンセンのアトリエになっています。右の端がサンルームになっていて、そこから家にはいります。
友人のマッツさんとモーゲンセン夫人。
モーゲンセンは私が最も好きな家具作家です。この家は家具はもちろん、家も彼が設計していますので、ここを訪れることができて、本当に感激しました。マッツさんには感謝、感謝です。

サンルームの外にはリンゴか何かの果樹が植えられていて、その下がダイニングテラスになっていました。ここで朝ごはんを食べたら楽しそうですよね。

サンルーム。
とても素敵な中間領域でした。床にも壁にもしっかり蓄熱しそうで、とてもエコですね。
北欧の家具作家たちは建築教育をしっかり受けているので、住宅を設計させてもうまいですし、建築空間と家具の関係を考えて家具を設計することができます。

これがサンルームの続きにあるダイニング。

日の丸提灯があるのには驚きました。日本が好きだったんですね。
内法高さは2100ほど、スパンは7200ほどでしょうか。とても気持ちが良いプロポーションの空間でした。

ダイニングとキッチンを隔てる食器棚。
その壁には...

姿見が作り付けられています。気が利いてますね。

キッチンは機能的でコンパクト。目を上げると外が見えます。

エプロンや掃除用具の収納もあり、シンプルですが、痒いところにしっかり手が届いています。
建物中央部にある廊下と階段。暗いですが、照明は提灯だけというのが洒落てます。

奥がリビングルーム。
リビングはテラスに続いていました。正面の四角いのは暖炉です。
なんとも居心地がよく、センスが良いインテリアです。空間に対する家具の置き方、カーペットの敷き方、照明器具の配置などのお手本ですね。
これ見よがしなところが微塵もないけれどほんと、良い家でした。モーゲンセンは58歳で亡くなってしまいました。ざんねんです。




次はフィン・ユール邸。
これまた素敵な家でしたが、内部のスライドフィルムを無くしてしまい。。。
この2枚しかありません。
上はベッドルーム、下は玄関。たまりのつくり方がうまいですね。


では続きは次回に。

(横内)