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匠道場 技能競技大会

2022.10.31 2022 匠道場(関ケ原製作所)

10月25日土曜日。
匠道場と名付けられたSプロジェクト建築を訪れました。

ここは岐阜県関ケ原町にある関ケ原製作所。
竣工から5ヶ月、匠道場はものづくりの技術の研鑽と伝承をする場として稼働しています。


竣工引渡し時とは違い、様々な工作機や加工品が設置され建物内が生き生きとしていました。

両サイドのランウェイ(H鋼)に渡り約17mのクレーン2台も上架されています。

手前の見上げに見えているダブルガーターのクレーンは建主である関ケ原製作所様の設計・製作のオリジナルクレーンです。


この日は関ケ原製作所様の第17回技能競技大会です。

選ばれし73名が日々磨いてきた技術を競い合います。
匠道場では初めての開催となります。

吹抜けのトレーニングルームに面して2階に回廊を設けているので競技の全貌が様々な角度から見下ろせます。


競技を見学しながら、建物も見学。
所長自ら設計過程やディテールをスタッフに説明。

技術の進歩や機械の消耗に合わせて、随時更新が必要な為、設備配管・配線はほぼ露出としました。

設計時に所長にかけられた言葉は「ブルータリズム」

タイルなどの仕上素材と同様に配管や配線までも建築素材と捉え意匠表現に生かすのが狙いでした。



構造設計の金箱温春さんと所長。
トップライトからの陽射しを受けたキールトラスが美しいです。

金箱さんから提案されたキールトラスによって、幅17m、奥行き25m、高さ15mの大空間が軽やかに実現しました。


2階東にあるメカトロ室。
与えられた課題に対してシーケンスプログラムを作成。いかに機械を制御できるか正確性を競っています。

このエリアはスライディングウォールで間仕切っているので、その時の開発対象や使用状況に合わせて空間操作ができます。


昼食に向かう一同、総勢23人。

横内スタッフに加え、設計・監理に携わってくれた金箱構造設計事務所、幹設備設計事務所の設計者も見学に参加。
意匠・構造・設備設計者とも自分達が設計した建物の状況を自らの目で確認するのを心待ちにしていました。


お昼を終えて見学再開。
NC旋盤が並びます。


NCとはNumerical Control(数値制御)を意味します。プログラムを認識して機械に指示を出し、機械を動かし精密なパーツを作っていきます。

これらの機械を動かすのに必要な電気やエアーを整える為、幹設備設計さんと共に何度も建主さんと打合せをしたのが懐かしく思い出されました。


1階の東側は検査・組立部門のエリアとなっています。こちらも競技大会中なので、社員の皆さんは目が真剣です。


さて、所長が真剣になっているアルミのキューブ。
このキューブの中にはさらに同形状の2つのキューブが入っていて、絶対にとれません。


あのキューブはこの普通旋盤でアルミの塊を切り出すことによって作られています。

先ほどのNC旋盤はプログラミング機能を用いた機械加工機ですが、こちらの旋盤は操る人の眼と手によって完成度が変わります。

機械の自動化が発達した今でも、手仕事の大切さを伝承していく為に今でも活躍している旋盤です。

物創りの仕事を覚えるにはまず手仕事から。

横内事務所が手描きを大切にしていることと同じですね。


キューブを作製した松岡マイスターから直々に製作工程を説明して頂きました。

競技会には工業高校の学生たちも見学に来ていました。
「どうやって作っているんだろう?」
「こんなこともできるんだ!」と、
物創りに興味を持ってもらう1つの糧になればと製作したそうです。


一足先に東京に帰る金箱さんと記念撮影。
所長とは前川國男事務所時代からの旧知の仲です。熱海リフレッシュセンターはじめ、縄文博物館など大きなプロジェクトでタッグを組むことが多いです。


最後にスタッフで記念撮影。

実際に作業をされている現場を拝見でき設計者として大変貴重な機会となりました。

匠道場が技術開発そして研鑽の場として愛され続ける建物になることを願っています。



スタッフ・上野