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Y邸お引渡し

2020.03.31 2020 長久手の家(愛知)

器職人は器に盛られる料理をどのくらい想像しながら器をつくるのでしょうか。
建築の設計者にも同じような心持ちがあるように思います。


今からひと月ほど前にさかのぼりますが、Y邸のお引渡しに立ち会いました。
建物の竣工直後にお引越しがあったので、多少バタついたお引渡しになってしまったのは申し訳ないのですが、
なんとか、建物はお施主様の家として引き渡され、そこで興味深いものを発見しました。


竣工した建物には、お施主様の持ち物がどんどんと運び込まれていて、その様は、建物が少しずつ家庭の雰囲気を帯びていくようでした。




慌しい引越しの最中、すでに自分達の居所を発見しているお子さんや、作業の傍らそれを見守るお施主様ご夫婦の自然な姿を見て、
そこに図面を描いているとき以上にはっきりと「家の使い勝手」を見たように思います。



僭越ながら建築家の理想とは、想像の段階としての建物の設計と、結果としてそれを実際に使う人の振舞いや漂う雰囲気の見事な一致ではないかという気がしました。


とはいえ、結果の部分は建築家の扱える領域ではなく、そこが建築家の悩ましいところだなと思います。



その悩みの中で、建物の中で自らの暮らしぶりを実践してくれるお施主様を見たときに、
横内の設計がお施主様によって建築として完成されていく様を見ているようで、なんだか心強い気持ちがしました。


それはまた、どことなくお庭の設計の話にも似ているような気もしますね。
家族の自然な振る舞いに寄り添うような建物をつくれたならば、横内の本望ではないでしょうか。







果たしてそんな建築ができるのかどうか。。
あとはただ見守るばかりです。
Y様には良い設計の機会をいただきました!



(秋吉)