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Y邸造園(Y邸)

2020.01.29 2020 長久手の家(愛知)

Y邸工事の工程も残りわずか。
今日は造園工事の監理に伺いました。


造園は東香園の名取さんにお願いしました。
これまで数々の横内事務所設計の造園に携わってくれている業者さんで、横内の思想をよく理解してくれていて、非常に面白いことを教わりました。
今日はその報告ブログにしたいと思います。


まずは主木となる木の配置から。
木の位置はあらかじめざっくりと造園図面に指示がありますが、
建築の設計と違って、自然の木には材料のように規格がなく性格もさまざま。
なので図面よりも現場で決めることの割合が多く、
業者さんは微妙な位置や向きの調整を現場判断で行います。



木には環境の変化に強いのとそうでないのがあります。
例えばツバキやアラカシなどの常緑樹は日陰やジメッとした環境に強いので庭の奥手へ、
ヤマモミジなどの落葉樹は日当たりに繊細なため庭の中央に配置します。

またそうすることによって森の中のような立体感のある庭になるわけです。



木の向きにもこだわりが。
例えば写真右手のモミジの木。枝ぶりが豊かなほうを建物外側に向けて、木自体は建物に背を向けるようにしています。
木は日光に向けて育つので、影をつくる建物には背を向けるもの。
その代わり陽射しの強い季節には、葉が茂って陽射しを遮るフィルターの役割を担ってくれます。

木の自然な性格を生かせば、自然と建物が一体になった建築ができるわけです!



名取さん曰く、「横内建築の庭づくりは、森を切り拓いて家を建てたようにつくる」そうです。
つまり、ここに植わる木はあたかも「ずっと昔からここに生えていたかのように」植えられている。


実際の工事のプロセスと逆行するポリシーでつくられる庭って面白いですね!
完成した建物に対して、その土地が秘めていた自然が歩み寄って来てくれたような感覚がします。



そうすると都市に壊された風景の中でも原風景みたいなものを取り戻せるような気がしてきます。
だから自然の育ち方に対する眼差しが非常に大切で、その読解の奥深さに感動しました。

建築の設計もまたそうありたい。





…長居しすぎて夜になってしまいました笑




もう少ししたら春の虫も鳴きはじめるのでしょうか。
今日はなんだか豊かな気分にさせてもらいました。






秋吉